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人工知能は「出版不況」を救うか?AIによる書籍需要予測という試み(現代ビジネス編集部)

AI〈人工知能〉による書籍の需給予測システムの開発――。先日、国内最大の印刷会社・大日本印刷株式会社が発表した新しい取り組みは、最近のAIへの関心の高さもあって新聞各社が報じるなど、注目された。

書籍の出版点数は1年に8万点近くあり、それぞれが多様な個性を持つ。単なる消費財、とは言えない文化的な側面がある商品の売り上げを、AIがどれだけ予測できるのか疑問の声もある。

はたして、AIは長引く出版不況の打開策になるのか? 担当者に話を聞いた。

取材・文/伊藤達也

本の売れ方には「サイクル」がある

「現状ではここ5年分、数万冊分の売り上げデータを学習したAIが、当該の書籍がどのような売り上げの経過をたどるかを予測しています。すでに実用化のレベルにあり、グループの出版社はもちろん、グループ外の出版社数社でも導入し、成果が確認できています」

AI予測についての責任者である、大日本印刷の若林尚樹氏はそう語る(以下、特別なことわりがない場合「 」内の発言は若林氏のもの)。

実際に、グループ内の出版社において、在庫の回転率は4.3カ月から3.8カ月に改善し、書籍の利益が17%ほど伸びたという。長い出版不況に苦しむ出版社にとって、魅力的な数字だ。では、AIは何をどう判断して、予測を行っているのか。「書籍の売れ方にはサイクルがある、という考え方が前提にあります」と若林氏は言う。

「初速、つまり発売直後にどれだけ売れるのか。長期的に見れば、どのように下降期を経て、適正な在庫に落ち着くのか、書籍がどのサイクルにあるかで、分析のポイントは変わってくるわけです。ですので、弊社では短期予測が得意なAIと、長期予測が得意なAIを開発し、適正な予測を試みています。

たとえば、発売直後にものすごく売れるベストセラー書籍もあれば、反対に長年じっくりと売れるロングセラーもある。一点一点が個性を持っているわけです。膨大なデータから『理由』を見つけて予測を行い、数字を『見える化』するのが、弊社のAIシステムの強み。書籍のサイクルに合わせた提案をしていきたいと考えています」

「書籍の売れ方のサイクル」といってもわかりづらいかもしれない。そこで、参考にしたいのが以下の図だ。

提供:大日本印刷株式会社

特にこの図の右側の部分が、商品が市場に出た、つまり本が書店に並んでからの「サイクル」となる。今回のAI需要予測が活用される部分は、この右側の部分だ。

シンプルに言うと、出版社が書籍の発売後に抱える課題である「プロモーション強化(売り伸ばし)」「需要変化点の見極め」つまりある時期、ある場所で売れたり、反対に売れなくなったりする事象の分析、「返品削減・倉庫・物流コストダウン」について、AIが活用されるということだ。

いったい、何人の人が、いつどこで、どの本を買っているのか。その時にどこに商品があるべきなのかを分析して、需給のギャップを減らしていく試みと言える。

価値観が多様化し、消費動向をつかむのはますます難しいからこそ、AIに寄せられる期待は大きい。書籍の売れ方が予測できれば、適切な時期に広告を打つなどの売り伸ばしもでき、どれだけ重版(すでに出ている本を、同じ版で追加で印刷すること)するか、時期や部数を決めやすい。さらに、適正な在庫量を保つ助けにもなる、というわけだ。

「適切な時間や場所に、フレキシブルに対応したい。現状では、商品が売れて重版になっても、例えば刷るのに2週間かかったらその間に売り逃しが出てしまいます。重版を待つ読者に不満を与え、購買意欲を削いでしまう。AIで予測を立てれば、出版社にこちらから提案して1週間早く重版できるかもしれません」

記事タイトル:人工知能は「出版不況」を救うか?AIによる書籍需要予測という試み(現代ビジネス編集部)
引用元サイト:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54910

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